タイへの営業で「何から始めればいい?」と詰まる日本企業は多い。テレアポ・Cold Email・ビジネス SNS — 3 手段にはそれぞれ効く業種と効かない業種がある。Bangkok の IT 企業に電話しても誰も出ない。Rayong の製造業に英文メールを送っても読まれない。手段の打ち分けを知るだけで、商談獲得数は 2〜3 倍変わる。
業種 × 手段マトリクス — どれが効くか
まずは業種ごとの効果度を整理する。◎=主力手段 / ○=サブ / △=補助的 / ×=ほぼ効果なし。
| 業種 | テレアポ | Cold Email | Facebook Messenger | |
|---|---|---|---|---|
| 製造業(EEC/Chonburi/Rayong) | ◎ | ○ | △ | ○ |
| 物流・倉庫 | ◎ | ○ | △ | △ |
| IT・SaaS・ソフトウェア | △ | ◎ | ◎ | ○ |
| 小売・EC・消費財 | △ | ○ | × | ◎ |
| 不動産・建設 | ◎ | △ | ○ | ◎ |
| 金融・保険 | ○ | ◎ | ◎ | △ |
| ホテル・外食・観光 | ○ | △ | × | ◎ |
◎が 2 つ以上ある業種は、複数手段の同時テストが大前提だ。
テレアポ — 製造業・物流系で 6 割ヒット
Chonburi や Rayong の EEC エリア製造業は、電話が今でも一番速い。担当者が工場フロアで動いているため、メールを読む習慣が薄い。
100 コールあたりの商談獲得数は 2〜4 件が現場の実績値だ。日本の BtoB テレアポ(平均 1〜2 件)より高め。タイ語で話せるかどうかで、繋がり率が約 40% 変わる。英語だと「後でメール送ってください」と切られるケースが多い。
最適時間帯は 午前 9:30〜11:30、午後 14:00〜16:00。昼休み(12:00〜13:30)と 17:00 以降はほぼつながらない。Rayong 工業団地の場合、月曜午前は会議が多く繋がりにくい傾向がある。火〜木の午前がゴールデンタイムだ。
スクリプトは「会社名 + 用件 + 所要時間 2 分」を冒頭 15 秒で伝える構成が鉄板。タイ人担当者は「何の会社?」と「何分かかる?」を最初に判断する。この 2 つを即答できない電話は即切られる。
Cold Email — IT・ソフトウェア系の主力
Bangkok の IT 企業や SaaS 系スタートアップは、メールを日常業務の主軸に置いている。テレアポより Cold Email の方が反応率が安定する。
開封率の目安は 25〜40%。件名に「社名 + 課題仮説」を入れると開封率が 1.5 倍になる。「無料でご案内」「特別オファー」などの営業臭い件名は迷惑メールフォルダ直行だ。
文面ポイントは 3 つ。
- 1 通は 150 字以内。タイの担当者はスマホでメールを読む。長文は読まれない
- 具体的な課題提示。「タイ市場の新規顧客獲得コストを〇%下げた事例があります」のように数字で引きつける
- CTA は 1 つだけ。「30 分の Zoom でよいですか?」に絞る。選択肢を増やすと返信率が下がる
送信時間は 火〜木の 8:00〜9:00 が最も開封されやすい。Bangkok の IT 系は出社前にメールをチェックする習慣がある。週明け月曜と週末前の金曜は開封率が 10〜15% 落ちる。
フォローアップは 3 日後に 1 回だけ。2 回目以降は返信率がほぼゼロになる。しつこい追撃は逆効果だ。
LinkedIn — 役職者層に英語で当てる
タイの LinkedIn ユーザーは Bangkok 集中で、外資系・IT・金融・製造業の管理職以上が主なユーザー層だ。Decision Maker(部長〜VP クラス)への直接アプローチに使う。
Connection Request の承諾率は、メッセージ付きで送ると 20〜35% 程度。メッセージなしは 10% 以下に落ちる。承諾後の InMail で商談につながる確率は全体の 5〜8%。数は少ないが、相手の役職と決裁権が明確なため、商談の質が高い。
EEC エリアの製造業役員は LinkedIn を使っていない場合が多い。製造業系は Facebook か電話に切り替えた方がいい。LinkedIn が刺さるのは Bangkok 本社の管理部門・IT 部門・経営企画と覚えておく。
プロフィールは英語で整備する。日本語プロフィールのままでは承諾率が半分以下になる。会社概要・実績数値・タイ市場への本気度を 3 行で示すことが大前提だ。
Facebook Messenger — タイ独自の最強ルート
タイの Facebook 普及率は 成人の約 85%(約 5,800 万人、Meta 2024 年公開データ)。個人アカウントのみならず、企業ページへの問い合わせも Messenger 経由が当たり前だ。BtoC だけでなく、小売・EC・不動産・ホテル業の BtoB 営業でも Messenger が主戦場になっている。
LINE Official と並んでタイで最も使われるビジネスコミュニケーション手段だ。Bangkok 都市部の小売バイヤーや飲食チェーンの店舗開発担当者は、電話より Messenger の方が反応が速い。
Messenger 経由の返信率は 40〜60% と高い。ただし「既読スルー」も多く、初回メッセージの最初の 1 文で勝負が決まる。絵文字は 1〜2 個までにとどめ、砕けすぎない文体が好まれる。
企業 Facebook ページへのメッセージは、担当者が個人スマホで確認している場合がほとんどだ。返信が来たら即レスが鉄則。24 時間以上あけると会話が冷める。
注意点として、Facebook 広告経由で見込み客リストを作り、そこへ Messenger アウトリーチする方法は効果が高い。ただし Meta の規約上、無許可のスパム送信はアカウント停止リスクがある。
3 ヶ月 PDCA — 多施策同時テストで「効く組合せ」を見つける
タイ営業は「1 手段に全振り」をするより、3 手段を同時に小規模テストして勝ち筋を見つける方が 3 倍速い。1 手段だけで 3 ヶ月回すのは、外した時のロスが大きすぎる。
Month 1 — 仮説設定とミニテスト
- リスト 100 社を 3 グループに分け、各グループに 1 手段を割り当てる
- テレアポ 30 コール / Cold Email 30 通 / Facebook Messenger 30 通を同一週に実施
- KPI: 返信率・商談獲得率・商談後の温度感(興味あり / 無し)を手段別に記録
Month 2 — 勝ち手段に 70% リソースを集中
- Month 1 で商談獲得率が最も高かった手段にリソースを 70% 集中する
- 残り 30% で 2 番手手段のスクリプト改善テストを続ける
- タイ語テレアポ対応の外注コストと商談単価を比較し、ROI を月次確認
Month 3 — 組合せ最適化と横展開
- 「テレアポで繋がった担当者に Messenger でリマインド」など手段を組み合わせる
- 商談化率 10% 以上の組合せを「勝ちパターン」として型化する
- 勝ちパターンを別業種リストに横展開してスケールテストを始める
3 ヶ月で見えてくる数字: テレアポ商談率 2〜4% / Cold Email 商談率 3〜6% / Messenger 商談率 5〜8%。業種・リストの質・スクリプトで大きく変わるため、自社の実測値を必ず取ること。
業種別 推奨組合せ 5 パターン
- EEC 製造業(Rayong / Chonburi) — テレアポ(主)+ Cold Email(フォロー): タイ語電話でアポを取り、英文概要をメールで送る 2 段構成
- Bangkok IT / SaaS — Cold Email(主)+ LinkedIn(意思決定者直当て): 開封率の高い火〜木朝メールと LinkedIn InMail の二重投下
- 小売・EC バイヤー — Facebook Messenger(主)+ テレアポ(補): Facebook で温めてから電話で背中を押す流れ
- 不動産・建設 — テレアポ(主)+ Facebook Messenger(追いかけ): 電話で概要を伝え、Messenger で資料 PDF を送付
- 外資系金融・保険(Bangkok 本社) — LinkedIn(主)+ Cold Email(フォロー): 役職者に LinkedIn で繋がり、英文メールで詳細資料を送る
まとめ — 1 つに絞らない、3 つで PDCA
タイ営業の失敗パターンの 7 割は「1 手段だけ試して諦める」だ。製造業には電話、IT 系にはメール、小売系には Messenger。業種で手段を分け、3 ヶ月で実測値を積む。それが最短の商談獲得ルートだ。
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